じざにっき

思考の整理と文章の練習。

【ネタバレあり】舞台にしか描けないヒプマイの世界 〜ヒプステ1-3の感想〜

舞台『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- Rule the Stage』の3作品目となる、オオサカ・ナゴヤディビジョンが登場するtrack3を本日東京ドームシティホールにて観劇してきました。前作のtrack1,track2も含めヒプステは3回とも現地で観てきましたので、3作品についての一オタク視点での感想を書いていきたいと思います。
この記事は、僕自身の整理のためと既に観劇された方に共感してもらうために書いています。そのため【ドラマCD・舞台のがっつりネタバレ】を含みます。まだ舞台を観ていない方は、先にご覧いただくのをオススメします。過去作は映像化されていますし、10月4日現在、track3は公演中、有料でライブ配信もありますので、ぜひ。
また、エンタメは人によって面白いと感じるポイントが違うところが醍醐味だと思います。そのため、舞台に対する批判的なコメントなどはあえて書いていません。僕が個人の見解で面白いと思った点をピックアップしております。
最後に軽く僕の自己紹介をすると、大学生の傍らたまに謎解きイベントを制作・運営している、一般男性ヒプマイファンです。イケブクロ推しです。

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毎回特典グッズも豪華でしたね。

track1 イケブクロ&ヨコハマ
〜僕が見たかった山田兄弟!!!〜

初観劇は2019.11@品川ステラボール。元々行く予定はなかったのですが、たまたま知人に誘われたのがきっかけで初のヒプステに。ものの見事に一瞬でどハマりしました。
素敵なリリックとダンスとモーショングラフィックスが合わさってめちゃくちゃボルテージの上がる舞台装置でした。ヒプステについては当初様々な意見があったのは知っていたのですが、こんなに舞台化に向いたコンテンツはないぞ!と瞬時に感じましたね。
イケブクロ推しの僕にとっては一番の注目点であった山田兄弟のキャラクター。木村昴さんが「みんなのスター的存在の一郎」を演じているとしたら、舞台での高野洸さんは「一市民として生きる生身の一郎」でした。
track1で一番好きな場面を例に挙げて説明します。アカバネディビジョンのリーダー堂庵は悪に手を染めますが、一郎は旧友であるため全力を出しきれず押されます。そこで普段は一郎に守られている側の二郎・三郎が兄ちゃんを守ろうと立ち上がるんですね。ドラマCDではあまり見られない一郎の弱い部分や長男からの独立に挑戦した彼らの姿に感動しました。まあ最後は一郎がバシッと決めてくれるんですがね!
しかしCDと舞台で変わらないのは、木村さんが他の2人よりヒップホップ歴の長い先輩として、高野さんが他の2人より俳優歴の長い先輩として、ちゃんと”兄”をやっているという点ですね。僕がイケブクロにハマる理由は、たまにこういう演者の関係性とキャラクターの関係性が重なる面白さにもあります。
また、因縁の多い一郎と左馬刻を直接合わせることなく、同じ目標を達成するために間接的に協力させるというシナリオもさすがでした。

track2 シブヤ&シンジュク
〜乱数の闇で浮かびあがる寂雷の光〜

track2にはtrack1とはまた違った楽しみがありました。そのひとつが、前回の座長が圧倒的正義のヒーロー・一郎であるのに対して、今回の座長はまだまだ謎の多い乱数であるということです。
蓋を開けてみると今回は乱数が裏で糸を引いて事件の原因を仕込んでいました。時系列は1st BattleのBattle Battle Battle前の予選ということですが、最近のドラマCDで明らかになった乱数のクローンも登場するなど、観客の前提知識に合わせて内容も最新版にアップデートされていました。
前回同様オリジナルディビジョンが敵役でしたが、元凶が座長・乱数にあるという点で大きく違います。そのため実質的な主人公は寂雷先生。普段は温厚な寂雷先生が正義のために熱くなるのは見応えがありました。
また、これだけ個性の溢れた6ディビジョンを既に登場させながらも、日本の祭りをモチーフに雷門の朱色を基調とした新たなチームの雰囲気をデザインしたのは上手だと思いました。
最後はハッピーエンドと思いきや乱数に全ての記憶を消されてしまい、アサクサのメンバーが寂雷先生との思い出を忘れる終わり方をして驚きました。客席の我々も寂雷先生の乱数を憎む気持ちが少しだけわかった気がします。

track3 オオサカ&ナゴヤ
〜すべては蜘蛛の糸の導きのままに〜

本日観てきました。ほやほやの感想をお届けします。track1,2はリーダー同士の確執がストーリーの核にありましたが、オオサカ・ナゴヤにはそれがない。しかも現ドラマCDでは一郎・左馬刻の解散後一度も接点のないチーム同士。片やお笑い芸人・教師・詐欺師、片や僧侶、ミュージシャン、弁護士。なんと繋げにくい6人でしょう。(現状各3人が1チームになっているのも奇跡です。)
これらを結び付けるための要素として、よくぞ「京都」「親興宗教」というテーマを見つけてきたなと。完全に脱帽です。ストーリー単体としては3部作の中で一番好きでした。
今回のストーリーでもうひとつ重要な役割を果たしていたのが、盧笙の学校の生徒が組む漫才トリオ「道頓堀ダイバーズ」。彼らのツッコミ担当が宗教団体「糸の会」に入信してしまい、友情が壊れそうになります。素晴らしいのは、彼らの会話が簓の盧笙に対する心情をそのまま投影した内容になっているということです。ここが作品としての一番の評価ポイントでした。
またどついたれ本舗のライブシーンでは、客席に愛嬌を振りまいてくれる簓、ハンドサインをする客席にいいねをくれる盧笙、まったく客席に構わない零のそれぞれのキャラクター性が忠実に再現されていました。
一方のBATは、いちいち鼓膜を破りにくる大音量を出しているのに全く声が枯れない"プロの喉"持った空却の印象が強かったですね。物語の最後に権力で事態を収束させた獄の頼もしさと、最後に「知人の神宮寺という医者」を紹介させるあたりの細かなプロットの遊びも好きでした。

最後に

舞台という特性を生かして原作ライブとは違うヒップホップの楽しみ方を提供しているのは挑戦的な試みだと思います。はじめはどうなることかと思いましたが結果的に僕はハードルの低い状態で楽しめたし、track毎にストーリーやバトル形式も異なって毎回新鮮に観られるコンテンツだったと思います。ヒプマイ、次はアニメという媒体も追加されるようなので今後も期待大です。ラップってたのC〜。